都立中で求められる「作文力」とは?

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執筆者

稲垣 佑介

白鷗高校附属中学校専門担当

限られた時間の中で、正しく読み取り、文章構成を考える

上野校小学部主任の稲垣です。

突然ですが、皆様は以下の問題を見て、どのような感想をお持ちになるでしょうか?

 

資料Aに、「人間の自己というものは形成されてゆく。」とありますが、資料Aの筆者は、自己を形成する上でどのような経験が重要だと考えていますか。また、資料Bに、「意識の変革」とありますが、資料Bの筆者は、旅行をすることで起こる「意識の変革」とはどのようなことだと考えていますか。それぞれ自分のことばでまとめなさい。それらをふまえて、あなたは中学生になったら、どのような経験をすることで、意識を変革し、自己を形成していきたいですか。具体的に四百字以上四百五十字以内で書きなさい。

 

問題文の中に「中学生になったら…」とあるので、中学入試の問題であることはお分かりかと思います。小学6年生のお子様がこの問題を見て、スラスラ書き始めるイメージはわくでしょうか?おそらく多くの方が、「小学生にとっては(大人にとっても?)難しそうだ」と感じるでしょう。この問題は、今年度の都立白鷗高校附属中の適性検査問題です。学校ホームページに実際の問題が掲載されています(このブログを書いている現時点では、著作権許諾申請の関係で資料A・Bはカットされています)。白鷗高附中の適性検査Ⅰでは、例年このような作文問題が出題されています。

こういった問題で求められているのは、「上手な文章を書く力」ではなく、「問われていることに的確に答える力」です。資料A・Bの2編の文章の筆者が何を述べているのかを正しく読み取り、それをふまえて自分自身の今後の取り組みと結び付けて…というように、いきなり書き始めるのではなく、文章構成を考えることにある程度の時間を割く必要があります。しかし、適性検査Ⅰは45分しかありません。文章を2編読んで、読解問題を2題解いて、それからこの作文に取りかかるわけですから、作文にかけられる時間は25分あればいいほうです。慌てやすい子ほど、よく考えずに書き始めてしまい、結果として支離滅裂な文章になってしまいます。

 

E-style上野校では白鷗高校附属中対策として「作文演習講座」を実施

上野校では、白鷗高附中の適性検査対策として、小学4・5年生のうちから月1回の「作文演習講座」を開講しています。これはE-styleの他の校舎にはない、上野校独自のものです。毎回様々なテーマの作文をもとに、「構成を考える時間」と「書いたものを添削してもらう時間」を取っています。たとえば先月の小5の作文テーマの1つは「『学校の宿題』についてのあなたの考えを、次の条件を全て満たして書きなさい。」というものです。シンプルなテーマのように思えますが、この後にいくつか「条件」が示されています。子どもたちには、まず条件をふまえて構成を考えること、しかし条件だけにとらわれずに「問われていること」に対する自分自身の考えを述べること、を徹底して意識させています。もちろん、内容が良くても採点者に正しく伝わらなければ意味がありません。適切な表現ができるように、書く⇒添削を受ける⇒書き直す⇒また添削…を繰り返していきます。授業は月1回ですが、作文を通じたやり取りは1か月間ずっと続くのです。

適性検査の作文において、実は「スラスラ書き始める」ことは求められていません。落ち着いてテーマや条件をとらえて、構成を考えてから書き始める。E-styleではそういった受検生を育てていきます。作文演習講座に興味を持たれた方は、ぜひ一度、上野校までご連絡をいただければと思います!

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