リーダーを育成する中高一貫校

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執筆者

山敷 淳史

巣鴨校校長・小石川中等教育学校専門担当

都区立の中高一貫校のホームページを見ていると、「リーダーの育成を目指す」と(多少学校ごとに表現の違いはありますが)書かれています。

 

リーダーとは何でしょうか。

その存在をイメージはできるものの、表現することはなかなか難しいと思います。

そのようなリーダーをどのように育てていくのでしょうか。

学校の成績さえよければリーダーになれるわけではないですし……。

 

リーダーを育てるのが学校の目標であれば、入試問題でもリーダーの資質が問われているのかもしれない。

そう思って各学校の入試問題をみていると、「リーダー」とは何なのか、すこしわかってきます。

 

たとえば、令和7年度の適性検査Ⅱ(都立共同作成)では、次のような問題が出されました。

科目でいうと、社会の問題です。

 

まず、「衣服」「ペットボトル」「紙」の循環利用の流れをまとめた表があります。

消費量が~万トンで、循環利用料が~万トンで、リサイクルされるものが~万トンで……

というように、表には様々な数値も書き込んであります。

問題では、まずその数値を百分率に直すことを求められます。

そのうえで、その数値をもとに、「衣服」「ペットボトル」「紙」の循環利用の特徴を答えます。

そうすると様々な課題が見えてきます。

ただしその解決策を答える問題は出てきません。

現状を正しく理解し、わかりやすく説明することだけが求められます。

 

都区立中が考えるリーダーの資質の一つが、ここにあります。

現代の日本がかかえている問題の多くは、ひとりでは解決できません。多くの人の協力を必要とします。

協力してもらうためには、その問題をわかりやすく伝えられる人が必要です。

それがリーダーです。

つまり、解決する人ではなく、協力してもらう人がリーダーだということです。

 

すくなくとも都区立中の入試問題を見ていると、そういったイメージが伝わってきます。

数値を「百分率」に直すのは、そのほうが数値の意味がわかりやすくなるからでしょう。

そのうえで「特徴」を答えるのは、図のポイントをわかりやすく伝えるためでしょう。

 

都区立中の入試で必要な力は、問題を解く力ではありません。いろいろな知識を持っていることでもありません。

自分が考えたことを、誰かにわかりやすく伝える力です。

 

都区立中の受検勉強をするときは、ぜひ「自分の考えを相手に伝える」時間をとってください。

大人が聞き手になってあげることが一番です。

リーダーは、自分とは違う立場の人(年齢・性別・役割が違う)から協力を得なければいけないからです。

大人に理解してもらえる説明ができる受検生は、かならず合格します。

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