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執筆者

川上隆一

大井町校校長 / 桜修館中等教育学校専門担当

先月、大井町校に着任しました川上と申します。指導歴は約15年、主に作文・文系指導を担当しています。

 

国語だけに限らず、適性検査においては「読解力」が大切であると説明されることが多いです。着任後の保護者さまとのご面談でも「うちの子、国語がどうにも苦手で……どうすれば読解力が上がるでしょうか?」と複数件ご相談いただきました。

本日のブログでは、「読解力の伸ばし方」について紐解いていきます。

 

読解力を伸ばす3つの要素
読解力とはその字の表すとおり、「文章を読み、正しく理解する力」のことです。問題を解く力と混同してしまう人もいますが、まずは文章をきちんと読み、理解していることが前提なのです。そのために、3つの要素が大事であると私は考えています。

 

①語彙力・背景知識
「オフチョベットしたテフをマブガッドしてリットにする」
……何のことかさっぱりわかりませんね。なぜなら、この文で用いられている単語の意味を知らないからです。
ある研究では、「文章を適切に理解するには、98%の単語がわかっている必要がある」というデータが示されているとのこと。先程の文ほど極端なことはありませんが、昨今の入試問題においては、小学生が日頃聞き慣れていない言葉、テーマが出題されています。読書だけでは好きな分野に偏ってしまう可能性があるため、ニュースや新聞、大人との会話など、様々な場面を活用し「聞いたことがある」言葉やテーマを増やしてみてください。

 

②ワーキングメモリ
実は私、カタカナの人名・地名・用語が少し苦手です。少年時代に読んだ某魔法使いの物語シリーズは、登場人物の名前を覚えるのにとても苦労した記憶があります。日本語だとまったくそんなことはないのに、なぜ——おそらく、カタカナに対するワーキングメモリ(必要な情報を一時的に保管して、知的活動の処理に活用する記憶の機能)が足りないのでしょう。
文章読解をするときには「線を引きなさい、印をつけなさい」という指示がよくされます。これには一律不変のルールがあるわけではなく、あくまで自分のワーキングメモリを助けるための作業なのです。「ここにこんなことが書いてあった」と思い出すきっかけづくりといったところでしょうか。ちなみに私は普通の読書でも線引きやメモを積極的にしています。

 

③思考を言語化する
今春、とある都内の難関私立中の説明会で、「与えられている情報と表現の〈あいだ〉を考えてほしい」、「テクニックに頼った読解ではなく、本文全体と一部分の関係から問われたことに対応してほしい」、「本文をただ切り貼りしただけの答案でなく、自分が理解したことを言葉にしてほしい」と教員の方が説明されていました。
つまり、「自分がどのように読んでいるのか、問題とどのように向き合ったのか、常に言語化する」という姿勢が求められているのです。逆接の後ろには必ず線を引く、要旨は必ず最後の段落に書いてあるはず、といった小手先のテクニックに頼った解き方では、最早太刀打ちできません。

私の授業では、解答からの逆算ではなく、背景知識、段落構成、単語レベルまで講義・精読をし、どのように文章を「読み、理解し、解く」のかという思考過程に重きを置いています。普遍性・再現性をもった読解力こそが、都区立中適性検査を突破するカギなのです。

 

何かとコスパ、タイパを求めてしまいがちな現代社会のなかで、腰を据えてじっくり読む、頭を働かせ常に「思考」しながら読む——そういった経験は、受検勉強としてだけでなく、今後生きていく中でも必ず活きる力となります。

E-styleの授業で、「本物の読解力」を身につけませんか。

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