失敗した自分を見つめ直す効用

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執筆者

石原 裕一郎

公立中高一貫校受検指導統括責任者

突然ですが、お子様は算数が得意でしょうか。自信を持って得意、と言えるご家庭は少ないのではないのかな、と思います。

 

「ケアレスミスがなかなかなくならない」「割合の理解があやしい」など、答えがはっきりする科目だからこそ、ミスに目が行きがちな算数。
それなのにお子様にそのことを指摘すると、「解説を読んで理解した」「次は大丈夫」という返答がきて、それならばと見守ったのにまたミスを繰り返す、というのは受験生あるあるかもしれません。

 

こうしたミスはなぜ起きるのか。
個人的には、「宿題のやり方」と「授業中の聞く姿勢」のどちらかに問題があるのではないか、と感じています。

算数に限ったことではありませんが、宿題には次の3つの目的があると言われています。

①今失敗することでその原因を確認し、同じような失敗を繰り返さないようにすること
②以前の授業等で先生が話していたことを思い出し、正しい判断や行動をとれているか確認すること
③正しい動きの結果として正解を得、得点と自信を得ること

 

上手くいかないのはこの①か②が成功していないわけですが、指導していて、次のような生徒に出会うことが増えたと感じています。

A宿題ノートを見ると、答えのみで考え方がほとんど書かれていない
B宿題で出した問題の、ほとんど(もしくは全部)を正解している
C授業の演習時はイキイキとしているが、解説時は落ち着きがない

このどのパターンであっても、宿題の(見た目の)実施状況の割に、テストではさっぱり得点できないケースが多いです。

このうち、AとCは課題点がはっきりしていますが、Bは一見よさそうに見えますよね。
しかし、塾で出されている課題の難度を考えると、全問正解というのはたった1回の授業に対する理解度としては出来過ぎです。
実際、Bのタイプの生徒は「失敗すること」そのものが苦手な場合が多く、行き詰まったときに類題や解説を読むなどして間違えるという経験を避けていた、と後々判明することが多いです。
つまり、①が成功していないケースなのです。
(なお、Aは①②両方とも、Cは②が成功していないケースの典型例です)

 

高度な内容を学ぶからこそ、「授業」と「宿題」を両輪として正しい学力を積み重ねたいものです。
適性検査の学習では、「与えられたものを受け入れる素直さ」や「当たり前のことに真面目に取り組む」力は特に重要です。
夏に向けて、今のお子様の状態をぜひ確認してほしいと思います。

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