都立中と私立中の併願
都区立中高一貫校入試の検査日は、すべての学校で2月3日です。つまり、都区立中高一貫校は1校しか受けられません。
ほとんどの受検生にとって生まれて初めての入試です。1回しかチャンスがないので不安になる子もいます。
そのため、都区立中高一貫校と同じ適性検査タイプの入試を行う私立中を、「練習校」として併願する受検生が多くいます。
ただ、塾にすすめられるがままに受けたものの、進学意志がない学校を受けることに意味があったのかどうかわからないまま受検が終わることも多いようです。
なぜ塾は併願を勧めるのでしょうか?
理由はいくつか考えられます。
(ここではあくまで「練習校」、つまり「受かっても行くつもりがない併願」についてまとめます)
1,講師の勉強不足のため
私立中の受験では、併願は不可欠です。併願パターンを何通りも検討し、その日の結果によって翌日受ける学校を変更することもあります。
また、受験を通して成長する生徒も多いため、一定数以上の学校を受験することで合格率が上がることは事実です。
しかしこれは、あくまで私立中受験の場合です。
多くの塾講師は都区立中高一貫校指導の経験が少ないため、自分が知っている私立中受験のノウハウをそのまま流用しようとします。
結果として、「中学受験において併願をしないなんてありえない」という信条を押し付けられることがあります。「都区立中と私立中はちがう」ということを頑なに認めようとしない講師は、残念ながら比較的多いようです。
「意味があったかわからない」場合のほとんどは、これが理由だと思われます。
2,受検生の自信をつけるため
受験生にとって、合格が何よりの自信につながります。そういった意味で、第一志望校を受ける前に合格をもらっておくことには意味があります。
ただ、適性検査というのはかなり広がりのある入試形態です。第一志望校と練習校の問題はかなり違うこともあります。
子どもたちもがんばって勉強しているので、その違いに気づきます。「この私立中の問題ができたからって、第一志望校に受かるわけではないな」と。
合格ならなんでもいいわけではないということです。自信をつけるために受検するなら、しっかり学校を選ぶ必要があります。
そのことに気付いている私立中は、特定の学校に寄せた問題作成を行っています。さらに一部の学校は、複数校向けに細分化された問題作成すら行います。2/1は小石川中志望者向けの問題、2/2は九段中志望者向けの問題……というように。
正しく併願校を選べば、正しい自信が生まれます。
3,受検するのは12歳の子どもであるため
経験がないということは、何が起きるかわからないということです。
会場で迷子になった、暖房装置のすぐそばの席だったため汗だくになり集中できなかった、まわりを他塾の生徒にかこまれ言い知れぬ恐怖を感じた……
大人だったら簡単に解決できることも、小学生はそうではありません。
まわりの大人からすると、きちんと練習して、少しでも不安要素をとりのぞきたくなります。意味はないかもしれない。でも、意味がないことを確認しておきたい。
そういう理由で練習を子どもに勧めるケースが一番多いかもしれません。
何にせよ、公立中高一貫校の入試というのは、絶対に人生で一度しか経験できません。
2/3の適性検査において持てる実力を最大限発揮するために、私立中併願について納得いくまで話し合い、確信をもって行動することが大切です。
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