令和7年度 都立中適性検査 適性検査Ⅱの問題分析
執筆者
石山 純也
中野校校長 / 富士・大泉高校附属中学校専門担当
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所属教室
理系の問題の紹介と理系の力をつけるための授業
適性検査問題分析第2回目の今回は、前回の文系に続く形で理系のお話です。
2025年度の適性検査Ⅱ(共同作成問題)は例年通り大問1が算数、大問2が社会、大問3が理科でした。その中でも今回は算数と理科についてご紹介します。
【算数】
大問1の算数の問題数は2問。
〔問題1〕は「縦に半分にした円柱を横に倒した形のふたがついた宝箱の展開図から表面積を計算する問題」で、
〔問題2〕は「同じ大きさの4個の立方体を組み合わせてできる2種類のブロックを使って、4×4×4=64の一辺が4の大きな立方体を組む際に、一番上の段のブロックの配置を考える問題(写真参照)」でした。
文章だけだと分かりづらいですが、実際の問題文にはもちろん「図」があります。
また、今回のブログを読む上では、この問題の内容を理解する必要はございませんので読むのをやめないでください。
(それでも詳しく知りたい方は、都立富士など、共通作成かつ令和7年度の問題が公表されている学校のHPをご覧ください)
簡単にまとめると、この問題を解くのに必要な力は、
「立体図形」と「展開図」を照らし合わせて考えて、「桁数の大きな数や小数の計算を正確に繰り返す力」と、「立体図形」をテーマに「論理的に考えて」「試行錯誤しながら組み上げていく力」です。
「立体図形」「複雑な計算」「論理的に考える問題」「試行錯誤する問題」は、いずれも毎年のように適性検査で出題されるテーマであることから、例年どおりの出題だったと言えるでしょう。
この2問に共通するのは、「立体図形」に関わる問題という点です。
立体図形の問題を解くためには「空間を認識する能力」が必要だと言われることがありますが、実は適性検査においては、大人のような空間認識能力までは必要ありません。
そもそも発達段階を考えても、11~12歳の受検生は空間を認識する脳の分野が未完成ですから、立体図形の問題はふつうには解けません。立体に苦手意識を持ってしまっているお子さまも少なからず見受けられます。
ですが、適性検査で出題される立体図形の問題に対する受検生の取るべきアプローチは、「立体図形を平面図形として考えること」です。
具体的には、「展開図」「投影図」「切断図」を用いて、立体を平面に落とし込んで考えるようにするということです。訓練さえすれば誰でも、展開図や投影図や切断図が描けるようになります。
【理科】
大問3の理科の問題数も2問。
〔問題1〕は、「選んだ理由を実験1の結果と実験2の結果から説明しなさい」
〔問題2〕も、「記録ウや記録エの値が記録アや記録イの値よりも大きくなるのはなぜなのか説明しなさい」
と、いずれも、「理由」を記述で説明させる問題でした。
テーマは「シャボン玉」ですが、学校で習う以上の水溶液の知識は要求されません。様々な実験データが表や写真で開示されているので、それを見ながら「考察」することで答えが出せます。ヒントがすべて与えられている中で、そこから答えを導き出すのは、さながらフェアな推理小説です。
理科や社会を「暗記」「知識の詰め込み」の教科だと思う方もいるかもしれませんが、適性検査においては、それは必要ありません。これからの時代、知識はコンピューターやAIが補ってくれますから、我々に求められることは、データや資料の分析・考察と、仮説を立てて検証すること、それを相手に説明することです。
もちろん、最低限の知識は必要です。この世界(宇宙・地球)の成り立ちやそれを構成する原子・分子の働き、動物・植物の生きる仕組み、光や音や磁力など触ることができないが確かに存在するものを認識していなければ分析も考察もできません。それら学習指導要領の範囲内の知識を押さえつつ、対策をしなければならないのは、読解力と分析力、そして聞かれていることに過不足なく答える記述力です。
E-styleの授業では、受検勉強を通して、これからの社会で役に立つ力を伸ばしていくことを目指しています。
今回の記事では語り切れなかった適性検査Ⅲですが、中学校ごとに、それぞれ理系の独自問題が出題されます。この情報はE-style各校の講演会にて分析や詳細を用意していますので、ぜひ志望校に合わせてご参加をお願いいたします。
E-style特別講演会(無料)|申込受付中 | E-style(イースタイル)
https://e-style.eikoh-seminar.com/event/event-5559/
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