都区立一貫中の過去問演習活用法

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執筆者

林川 敬

吉祥寺校校長・武蔵高校附属中学校専門担当

ご家庭では過去問の演習結果に一喜一憂している時期だと思います。そこで、今回は過去問題の演習とその結果の活かし方についてお話しいたします

 

過去問演習の「目的」

私立中受験や高校受験、大学受験において過去問演習の目的は、「出題傾向を探ること」、その傾向と照らし合わせた「自分の弱点を把握すること」、そして、「志望校の合格の可能性を見極めること」だと思います。

 

しかし、都区立一貫中受検の場合は、以下のような理由から、他の受験形態とは「目的が違う」と認識しておくべきでしょう。

  • 適性検査には出題形式上の傾向はあるが、出題内容には傾向があまりない
  • 適性検査は常に「初見」の問題で、過去問演習の得点自体が乱高下することも少なくない

 

では、都区立一貫中の過去問演習の本当の目的は何でしょうか。

E-styleでは、以下を受検生たちに繰り返し伝えています。

 

「過去問演習で取れた得点は、あくまで“その問題で取れた得点”であって、出題傾向が明確でない以上は、得点だけでは合格の可能性は判定できない」

「重要なのは、分析して次に活かすことである」

 

ここで言う「分析」とは、どういう順番で、何分かけて、どう考え、どんな点に注意をして解いたのかを「振り返ること」を指しますが、適性検査はそれらが「場当たり的になりやすい」という特徴を持っています。「臨機応変に」とか「柔軟に」と言えばそれらしく聞こえますが、大抵の場合は理由もなく「何となく」とか「苦し紛れに」そうしてしまう場合が多いものです。それが原因で、取れた得点が「結果論」になってしまうのです。ですから、しかるべき時間を取って、丁寧に、「振り返り=分析」をすることをお勧めいたします。

 

過去問演習の効果を最大限に引き上げる

都区立一貫入試は後発の入試形態ですから、過去問題の数自体が私立中などに比べると圧倒的に少ないのも、適性検査対策の難しいところのひとつです。さらに、適性検査型の模擬試験はいくつかありますが、私立中受験や高校受験と比較すると受検できる数には限りがあることを考えると、志望校の過去問題の演習は数少ない「学ぶ機会」と言えるでしょう。一回一回を大切に使いたいものです。

 

そんな貴重な過去問演習の際に、分析とともに大切になってくるのが「試してみる」という意識です。適性検査は問題の分量が多く、解き終わらないか、解き終わったとしても焦って解いたためにミスが多く生じてしまうという特徴もあります。よって、「どんな順番で」「何分かけて」解いたかで、取れる得点が何十点も変わってしまいます。

 

「解ける」と思って解いた問題が、実は時間と手間がかかる問題だったために、本来なら解けるだろう問題で時間が足りず……というような「判断ミス」が多く発生します。そんななか、過去問演習とその分析によって「自分なりの解き方方程式」を作り上げられた人が本番で安定して得点するのです。

 

適性検査Ⅱで、「今回は算数から解いてみよう」と解く順番を変えたり、「前回は社会に時間をかけ過ぎたから、〇分を目標に仕上げよう」などと、演習するごとに「テーマ」を決めて演習したりするのはいかがでしょうか。

 

塾生たちはいま、「志望校対策ゼミ」で本番さながらの緊張感で演習し、その直後に解説を受け、そのままの流れで「自分の解き方」を振り返る時間を取り、次の演習に活かしています。

 

私たちE-styleは、過去問演習以外にも、「独自のメソッド」を持つ都区立一貫専門塾です。都区立一貫受検をお考えの方向けの「新年度開講説明会」も実施しております。ぜひ足をお運びください。

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