小学3年生の作文から感じたこと
E-styleの小3コースでは、定期的に作文を書いてもらっています。
先日は「雨の日を楽しくするためにはどうすればいいか」というテーマを与えました。
「雨水で水鉄砲をしよう!」や「水たまりで思い切り遊びたい!」といった楽しいものから、「雨音を聞きながら静かに読書をする」という風情あるものまで、とても魅力的な意見がいくつも出てきました。
自分の子供が書いた作文を読んだ保護者から、
「このままで大丈夫でしょうか?」
と聞かれることがあります。実際の入試問題はとても大人っぽい課題になっているため、小3の書くいかにも子供らしい作文を読むと、微笑ましさと同時に不安を感じるのだと思います。それは(小3の専属担当である)私にとっても迷うところです。3年生の子たちは、すごく楽しそうに作文を書いてくれます。
だからほめてあげたい。
でも、今の作文に対して、ただほめるだけで合格できるのでしょうか。気になったので、E-styleの上級生や、実際に合格した作文をこっそり読ませてもらいました。3年生の子が書いた作文を読んでいて不安を感じるとしたら、幼さに対してです。なぜ幼さを感じるかというと、その意見に「他者の視点」というものが決定的に欠けているからです。そう思って読んでみると、3年生の作文には自分以外の登場人物がほとんど出てきません。書かれているのは自分の世界です。自分の行動と、自分が思ったことで作文が終わります。
これが4年生になると両親が登場することが増えてきます。(なぜかきょうだいが出てくることは少ないです。)5年生になると学校のクラスメイトのことが出てきます。世界が少し広がってくるんですね。
6年生になると、小さかったころの自分が出てきます。過去の経験を通して今の自分があることがわかってくるのでしょうか?塾のクラスメイトが出てくるのも6年生になってからです。「家庭」や「学校」といった枠組みからはなれ、自立しはじめるのがこの時期なのかもしれません。
そのあと、4年生の子の「家族」が出てくる作文を3年生の授業で読み上げました。この年代での1学年はかなりちがいます。本人たちが一番敏感にそのちがいを感じとります。
子供たちは「やっぱり上手だな」とか「聞いていておもしろかった」と感想を言ってくれました。なぜ上手なのか、なぜおもしろいのかについては何も言わないまま、あらためて前回と同じテーマで作文を書いてもらいました。突然、家族をえがいた作文が増えました。ひとりで雨を楽しんだ作文より、家族で雨を楽しんだ作文のほうが、その楽しさがずっとよく伝わってきました。
この経験で私なりにわかったことは、2つです。
1つ目は、「小3の作文が幼いのはあたりまえだし、学年があがれば変わっていくのだ」ということ。
2つ目は、「子供たちは真似をすることで成長するのだ」ということ。
E-styleは、先生が一方的にものを教えるだけの塾ではありません。生徒が他の生徒から学べる場をつくる塾です。そうはいっても作文だけは個人作業だと思っていました。でも、作文こそ、まわりから学べるもののようです。
夏期講習が始まりました。みんな元気に通ってくれています。
この夏のあいだにどれだけ多くのことを学べるのか、楽しみにしています。
それが私にとっての学びにもなると思います。
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