点を打ち忘れるな 

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執筆者

山敷 淳史

巣鴨校校長・小石川中等教育学校専門担当

間もなく新学期が始まります。

このブログはいつもお題をもらって書いています。今回のお題は、「新学期を迎えるにあたっての留意点」です。

文章を読みながら、留意点は何だと言おうとしているのか考えていただけるとうれしいです。

 

先日試みに、「都立小石川中に合格するためにはどんな勉強をしたらいいか」とGeminiに質問してみました。

以下がその解答です。

「小石川中等教育学校は、都立中高一貫校の中でも最難関と言われ、

知識を詰め込むだけでは太刀打ちできない独自の「適性検査」が課されます。

合格するためには、「読解力・思考力・表現力」の3本柱を鍛えることが必要不可欠です。」

どこかで見た覚えがあるなと思ったら、我々E-styleのホームページを参照した答えのようです。

 

公立中高一貫校の入試は「適性検査」型です。

「適性」という言葉も、また抽象的な表現です。

だから「学力は問わない適性検査型」と表現することもあります。

しかし学力を問わないのだとしたら、いったい何をどう勉強すればいいのでしょう。

 

「読解力・思考力・表現力を鍛える」という説明も抽象的です。

「思考力を身に付けさせる」ことが大事なのは当たり前のことと感じる人は多いはずです。

しかし「思考力が大事なのは当たり前だ」と考えてしまったら、それはすでに思考力を失った状態といえるでしょう。

では、思考力とは何なのでしょうか。

 

……このように、つかもうとすると逃げていくのが「適性」という言葉です。

それを小学生に学ばせるためには、何かしらの手がかりのようなものが必要です。

 

印象に残っている入試問題があります。

ある公立中高一貫校で、陸上競技場にあるトラックを描く問題が出ました。

左右に半円を向かい合うように描き、それを2本の直線でつなぎます。

「ただし、半円の中心には、見てわかるように点をかいておくこと」

と問題の最後に書いてありました。

この点をかき忘れた受検生がとても多かったそうです。そして、それが合否を分けた。

なぜ点をかき忘れるのでしょう?

緊張していたから? 焦っていたから? 問題文を最後まで読まなかったから?

そもそも点を打つことが「適性」なのでしょうか? それは「思考力」といえるのでしょうか?

 

「学校教育」について話をするとき、重要な前提があります。

それは、学校は集団で何かを学ぶ場だ、ということです。

解ける子がいて、解けない子がいる。でもそこから何かを学ぶことはできます。

ただし、先生の指示を聞き忘れた子がいると、集団は止まります。無視して置いていくわけにはいかないですから。

個人を大事にしながら、かつ集団としての学びの速度を保つには、生徒が「指示を正しく守る」ことが必要です。

だからなのでしょうか。適性検査問題には「複数の条件」がくっついているものが多いです。

その条件を無視すると部分点すらもらえない場合も多いようです。

「過程が正しければ答えを間違えてもいい。しかし条件を守らなかったら答えが合っていても点数を与えない。」

それが適性検査です。

集団の授業についていくのが上手な子が、適性がある子だということです。

それは社会という巨大な集団のなかで生きていく力があるということでもあります。

 

間もなく新学期が始まります。

今回のブログのお題は、「新学期を迎えるにあたっての留意点」。

私が思う留意点は、1つだけです。

 

「忘れ物をしないこと」

 

そうすれば授業は止まりません。先生の評価も上がります。通知表も良くなります。中高一貫校の合格率もあがるでしょう。

 

点を打ち忘れないこと。

忘れ物をしないこと。

適性検査で求められていることは、社会で求められていることと同じです。

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